『ドリルを売るには穴を売れ』を経営に使ってみた|商品ではなく“顧客の得たい結果”から見直す【使ってみたラボ】

ビジネス書レビュー

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「使ってみたラボ」、今回はマーケティングの定番書、佐藤義典さんの『ドリルを売るには穴を売れ』です。タイトルの意味は、「顧客が買っているのはドリル(商品)ではなく、穴(商品がもたらす結果)だ」ということ。頭では分かっているつもりでしたが、自社の営業資料を見返すと、見事に「ドリルの説明」ばかり書いていました。今回は、この本の考え方を自社の商品説明と営業資料に実際に当てはめてみた記録です。

この記事の要点:『ドリルを売るには穴を売れ』のベネフィット思考を、自社のサービス紹介文と営業資料に適用。機能の列挙を「顧客が得られる結果」に書き換えたところ、説明の伝わり方と商談での質問の質が変わりました。

本の要点:顧客は商品ではなく「価値」を買う

本書はマーケティングの基本を、ベネフィット(顧客にとっての価値)、セグメンテーション(誰に売るか)、差別化(なぜ自社か)、4P(どう届けるか)という流れで、ストーリー仕立てで解説します。中でも背骨になっているのがベネフィットの考え方です。顧客がお金を払うのは、商品そのものではなく、商品を通じて手に入る結果に対して。だから売り手は「何を売るか」ではなく「顧客が何を得るか」から発想しなさい、という教えです。

自社で使ってみた:紹介文を「結果」で書き直す

まず、自社サービスの紹介文を本書の目線で点検しました。出てくる言葉は機能と仕様ばかり。「高性能なドリルです」と言っているのと同じでした。そこで、一文ずつ「それで、お客様は何を得られるのか?」と問い直し、書き換えていきました。たとえば「管理画面で一括管理できます」は、「担当者が確認作業に使っていた時間を、月数時間分そのまま返します」に。機能はその根拠として後ろに回しました。

営業資料も同じ手順で再構成しました。表紙の次のページを会社紹介から「導入後にお客様の業務がどう変わるか」に差し替え、機能一覧は付録に移動。すると商談での質問が、「この機能はありますか」から「うちの場合はどれくらい変わりますか」に変わってきました。顧客が自分ごととして聞いてくれている手応えがあります。

効き所と限界

効き所は、社内の言葉づかいが変わることです。「それはドリルの話か、穴の話か」という共通言語ができると、資料でも会議でも、顧客不在の議論に自分たちで気づけるようになります。この点は、顧客の「用事」から商品を組み替える『ジョブ理論』の実践記とも地続きで、併せて読むと理解が深まります。

一方で限界もあります。本書はあくまで基本の骨格なので、ベネフィットを見つけたあと、それを自社の強みの連なりとしてどう一貫させるかは、『ストーリーとしての競争戦略』のような戦略の本で補う必要があります。また、書き換えた文章が本当に刺さっているかは、結局は顧客の反応で検証するしかありません。

どんな人に効くか

マーケティングの専任がいない中小企業の経営者、自社の商品説明が「機能の列挙」になっている自覚のある方には、最初の一冊として最適だと思います。物語形式で読みやすく、読んだその日から自社の資料でそのまま練習できます。逆に、すでにマーケティングの実務経験が長い方には、基本の再確認という位置づけになるはずです。

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まとめ|「穴の話」から始める

商品を磨くほど、人はドリルの話をしたくなります。しかし顧客が買っているのは、いつだって穴です。紹介文でも営業資料でも、まず顧客が得る結果から書き始め、機能は根拠として添える。この順番を入れ替えるだけで、同じ商品でも伝わり方は大きく変わりました。自社の資料が機能の列挙になっていないか、一度「穴の目線」で点検してみることをおすすめします。

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