『FACTFULNESS』を経営判断に使ってみた|思い込みを外して数字で決める習慣【使ってみたラボ】

ビジネス書レビュー

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経営の意思決定でいちばん怖いのは、「事実だと思い込んでいたものが、実は古い印象だった」というケースです。今回の「使ってみたラボ」では、ハンス・ロスリング『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の考え方を、自社の意思決定に1か月ほど意識的に取り入れてみました。経営者の一人称で、実際にどう効いたかを正直に書きます。

結論から言うと、この本は「世界の見方」を教える教養書のように見えて、実務では思い込みを外して数字で判断するためのチェックリストとして使えます。会議の質が目に見えて変わりました。

この本のどこを実務に使ったか

本書は人が世界を誤解する10の本能(恐怖本能、分断本能、過大視本能など)を挙げています。私はこのうち3つを、自社の意思決定の「つまずきポイント」として貼り出しました。①分断本能=「うちの顧客は二極化している」と決めつけていないか。②過大視本能=1件のクレームを全体の傾向と取り違えていないか。③焦り本能=「今すぐ決めないと手遅れ」という空気に流されていないか。

実際にやってみたこと

定例会議の冒頭に、「その主張、数字で言うと何件ですか?」と必ず一度問うルールを置きました。すると、これまで“感覚で大きく見えていた問題”の多くが、実際の件数を出すと優先度が下がることがわかりました(具体的な数値・案件名は伏せます)。逆に、地味で目立たないのに件数が積み上がっている課題が浮かび上がってきました。「声の大きさ」ではなく「件数」で並べ替える——たったこれだけで、限られた時間とお金の配分が変わりました。

つまずいた点・注意したいこと

万能ではありません。数字を求めすぎると、まだ数値化できない芽の段階の話題が会議から消えてしまう副作用がありました。そこで「数字で見る議題」と「直感で語る議題」を分け、後者には別枠を設けることで折り合いをつけました。本書の本意も、数字で人の心を切り捨てることではなく、思い込みと事実を切り分けたうえで、人として判断することにあります。

AIとの相性も良い

面白かったのは、この「数字で確かめる」習慣がAI活用とも噛み合うことです。ChatGPTなどに自社データの傾向を整理させると、思い込みを裏づけるのではなく揺さぶる材料が出てきます。AIに下調べと整理を任せ、人は本能のバイアスを自覚しながら最終判断を下す。AIは判断を奪うのではなく、より冷静に判断するための材料を増やしてくれると感じました。

まとめ

『FACTFULNESS』は、経営者にとって「会議の冒頭で一度立ち止まるための一冊」です。世界の統計の話としてだけでなく、自社の数字に置き換えて読むと、明日からの意思決定がぶれにくくなります。思い込みで大きく見えていた問題に、まず件数を当ててみる。そこから始めてみてください。

気になった方はぜひ手に取ってみてください。

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