部下に任せたいのに、つい口を出してしまう。ほめるのも叱るのも、いつもタイミングを逃す——マネジメントは経営者にとって永遠の悩みです。今回は、ケン・ブランチャードとスペンサー・ジョンソンの名著『新1分間マネジャー』を、自社のマネジメントに実際に使ってみたレビューをお届けします。古い版の「叱責」が新版で「立て直し」に改められた点も含め、経営者として読み返して何が変わったかを正直にお話しします。
『新1分間マネジャー』はどんな本か
本書は、成果も上げながら部下も育てる「1分間マネジャー」の手法を、物語仕立てで描いた一冊です。中心にあるのは3つのシンプルな技術——「1分間目標設定」「1分間称賛」「1分間修正」。難しい理論ではなく、今日から試せる具体的な動き方として書かれているのが特長です。薄い本で1〜2時間あれば読み切れますが、書かれている内容を実際にやってみると、自分のマネジメントの粗さに気づかされます。
使ってみた1|1分間目標設定で「期待のズレ」が消えた
まず試したのが「1分間目標設定」です。重要な目標を3〜5個に絞り、それぞれを1分で読み切れる短さで書く。やってみて効いたのは、私と担当者の“期待のズレ”が見える化されたことでした。これまでは「言ったつもり・伝わったつもり」ですれ違っていた部分が、短い文章に落とすことで明確になります。あるメンバーとは、私が最重要だと思っていた項目を本人は二番手だと捉えていたことが判明し、その場で認識をそろえられました。長い目標管理シートより、短く絞るほうが機能すると実感しています。
使ってみた2|「その場でほめる」を意識したら空気が変わった
次が「1分間称賛」。うまくいったことを見つけたら、後でまとめてではなく、その場ですぐ、具体的に伝えるという技術です。経営者は問題ばかりに目が行きがちで、私もできていない点の指摘が先に立っていました。意識して良い行動をその場でほめるようにしたところ、チームの空気が明らかに前向きになりました。ポイントは「えらいね」と漠然とほめるのではなく、「あの対応のここが良かった」と行動を具体的に言うこと。抽象的な称賛より、具体的な一言のほうがずっと効きます。
使ってみた3|「叱る」を「立て直す」に変える
新版でいちばん腑に落ちたのが、旧版の「叱責」を「1分間修正(立て直し)」に置き換えた点です。ミスが起きたとき、人格を責めるのではなく、何がずれたのかという“行動”だけを早めに指摘し、最後は「君を信頼している」と相手の価値を確認して締める。この順番を守るだけで、指摘が相手に届きやすくなりました。叱られた側が萎縮して動けなくなる、という悪循環を避けられます。感情をぶつけるのではなく、行動を立て直す。経営者こそ意識したい姿勢だと感じました。
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どんな経営者におすすめか
マネジメントの本を何冊も読んだけれど現場で使えていない人、部下が指示待ちになりがちで悩んでいる人に特におすすめです。理論より「明日やる動き」が知りたい経営者にぴったりの一冊で、薄いので部下に渡して読み合わせるのにも向いています。一方で、組織論を深く掘りたい人には物足りないかもしれません。あくまで“実践の入り口”として読むのが正解です。
よくある質問
まとめ
『新1分間マネジャー』は、目標を短く絞る・その場で具体的にほめる・行動を立て直す、という3つのシンプルな技術を教えてくれます。実際に自社で使ってみて、私自身の“口を出しすぎる癖”が和らぎ、部下が自分で動く場面が増えました。マネジメントを難しく考えすぎている経営者ほど、効果を感じやすい本だと思います。まずは「1分間目標設定」を、一人のメンバーと試すところから始めてみてください。


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