「会議をやっているのに、決まらない・動かない」。経営者なら一度は感じる悩みではないでしょうか。今回の「使ってみたラボ」は、インテルを率いたアンドリュー・グローブの古典『ハイ・アウトプット・マネジメント』を、自社の会議と1on1の運営に当てはめて2週間試した記録です。理論の紹介ではなく、実際にやってみて何が変わったかを経営者目線でお話しします。
この本の軸は「マネジャーのアウトプット=チームの成果」
本書がくり返し説くのは、マネジャー個人がどれだけ働いたかではなく、自分が関わるチーム全体がどれだけ成果を出したかで仕事を測れ、という考え方です。そして、その成果を一番効率よく引き上げる「テコ(レバレッジ)」が高い行動に時間を使え、と。会議も1on1も、この「テコ」を効かせる道具として位置づけられています。耳の痛い話ですが、自分が動き回って忙しいことと、会社が前に進むことは別だと突きつけられました。
試したこと1|定例会議を「決める場」に作り替えた
これまでの定例は、各担当が状況を読み上げるだけで終わりがちでした。本書の「会議は意思決定とその実行のためにある」という指摘に従い、報告は事前に共有しておき、会議の時間は「決めること」だけに使うルールに変えました。アジェンダの各項目に「これは何を決める時間か」を書き添えるだけで、雑談で流れていた30分が、3つの決定を出す30分に変わりました。会議の体感価値が上がり、「出る意味のある会議」になった感覚があります。
試したこと2|1on1を「やる気の確認」ではなく情報の流れにした
グローブは1on1を、上司が部下を評価する場ではなく、現場の情報が上に流れ、判断材料が増える場だと位置づけます。これに納得して、月1回30分の枠を固定し、議題は基本的に部下側に持ってきてもらう形にしました。最初はぎこちなかったものの、3回目あたりから「実はこの進め方に不安があって」という、会議では出てこない話が上がるようになりました。問題が小さいうちに耳に入る——これは経営者にとって大きな安心材料です。
試したこと3|決まったことを必ず1行で残した
会議のたびに「誰が・いつまでに・何をするか」を1行だけ書いて全員に共有する、というルールも加えました。地味ですが効果は大きく、「言った言わない」や「あれどうなった」のやり取りが目に見えて減りました。本書のいう「フォロースルー(やり切る仕組み)」を、いちばん軽い形で実装したつもりです。完璧な議事録より、1行の決定メモの方が実際には回ります。
2週間やってみての手応えと、注意点
会議時間そのものは大きく減りませんでしたが、「決まらないまま終わる会議」がほぼなくなり、決定の後追いにかけていた時間が確実に軽くなりました。一方で注意点もあります。本書はインテルという大組織が前提なので、仕組みをそのまま真似ると小さな会社には重すぎます。1on1の頻度や会議の数は、自社の規模に合わせて削る前提で取り入れるのが現実的でした。AIに議事の要約を任せて、人は「次に何を決めるか」に集中する——そんな組み合わせとも相性のよい一冊です。


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