「なぜ、うちの会社は同じ失敗を繰り返すのか」。経営をしていると、何度もぶつかる問いです。その答えを探すヒントをくれたのが、名著『失敗の本質』でした。旧日本軍の組織を分析した本ですが、読むほどに現代の中小企業の話に思えてくる。今回は、この本を自社の組織運営に当てはめて使ってみた経営者一人称のレビューです。
『失敗の本質』とはどんな本か
『失敗の本質 ―日本軍の組織論的研究』は、戸部良一氏ほかによる共著で、太平洋戦争の主要な作戦の失敗を「組織」という視点から分析した一冊です。軍事の本でありながら、語られているのは情報共有のまずさ、空気に流される意思決定、成功体験への固執など、どの組織にも起こりうる病です。だからこそ、経営者やリーダーに長く読み継がれています。
学び1|「空気」で決まる意思決定をやめる
本書が描くのは、データより場の空気で重大な判断が下されていく姿です。これは自社にも耳が痛い話でした。会議で誰も反対しないまま物事が進み、後で「実はおかしいと思っていた」と全員が言う——そんな経験はないでしょうか。私はこれを読んでから、会議で必ず「反対意見の担当」を一人決め、あえて異論を出してもらう運用にしました。空気ではなく事実で決める。小さな仕掛けですが、効きます。
学び2|成功体験が次の失敗を生む
旧日本軍は、過去に勝ったやり方に固執して環境の変化に対応できませんでした。会社も同じで、「以前これで上手くいった」が判断を曇らせます。私自身、かつての主力商品の売り方を変えられず、市場の変化に出遅れた苦い記憶があります。本書を読み返すと、勝ちパターンほど定期的に疑う必要があると痛感します。うまくいっている時こそ、やり方を点検する時間を意図的に取るようにしました。
学び3|失敗を「学習」に変える仕組みを持つ
最も差がつくのは、失敗の後の振る舞いです。失敗を隠す組織は同じ過ちを繰り返し、失敗を共有して仕組みに反映する組織は強くなります。自社では、トラブルが起きたら「誰が悪いか」ではなく「どの仕組みが穴だったか」を一枚にまとめて共有するようにしました。人を責めない前提があるからこそ、現場が正直に失敗を出してくれる。これが学習する組織の入り口だと感じています。
どんな人におすすめか
少人数でも組織として伸び悩みを感じている経営者、現場のリーダー、これから人を率いる立場になる人に強くおすすめします。歴史の知識は不要で、組織で起きる失敗の“型”を学べる本として読めます。読み終えると、自社の会議や意思決定の景色が少し違って見えるはずです。
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よくある質問
まとめ
『失敗の本質』は、失敗を個人のせいにせず、組織の仕組みとして捉え直させてくれる本です。空気で決めない、成功体験を疑う、失敗を学習に変える。この3つを自社に取り入れるだけで、同じ失敗を繰り返す確率は確実に下がります。経営の判断に迷ったとき、何度でも戻ってきたくなる一冊でした。

