『ザ・ゴール』を自社の業務改善に使ってみた|ボトルネックを見つけて全体を速くする【使ってみたラボ】

ザ・ゴール ボトルネック 業務改善 経営者 ビジネス書レビュー

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「人を増やしたのに、なぜか全体の生産量が上がらない」——経営をしていると、こうした手応えのなさにぶつかります。今回の「使ってみたラボ」では、エリヤフ・ゴールドラットの名著『ザ・ゴール』の考え方を、自社の業務改善に実際に当てはめてみた記録をお話しします。小説仕立てで読みやすい本ですが、そこに書かれた「制約理論(TOC)」は、現場の流れが詰まる本当の原因を見つける強力な道具でした。経営者の一人称で、何をどう試したかを率直に書きます。

『ザ・ゴール』が突きつける「全体最適」という視点

この本の主張を一言でいえば、「会社の目的はお金を儲け続けることであり、個々の部署が忙しいかどうかは関係ない」ということです。各部門がそれぞれ頑張って稼働率を上げても、どこか一カ所が詰まっていれば、全体の生産量はその詰まった一カ所(ボトルネック)以上には増えません。読みながら私は、自社で「皆が忙しいのに利益が伸びない」状態がまさにこれだと気づきました。部分の頑張りの足し算が全体の成果にならない——この視点の転換が、本書から得た一番の収穫でした。

📖 使ってみた一言まとめ 『ザ・ゴール』のTOCは「一番詰まっている工程を見つけ、そこを基準に全体を設計し直す」道具。自社では受注から納品までの流れを書き出し、ボトルネック工程に手を入れたところ、増員せずに処理量が上がりました。

使ってみた①|仕事の流れを一本の線で書き出す

まず本に倣って、自社の主力業務を「受注→確認→制作→チェック→納品」と一本の流れで紙に書き出しました。普段は部署ごとに分かれて見ているものを、あえて一本の線にしたのがポイントです。すると、どの工程の前に仕事が一番たまっているかが目で見えました。私の会社では、制作の前の「確認」工程に依頼が滞留していました。各担当に聞くと皆「忙しい」と言うのに全体が遅い理由は、この一カ所に仕事が積み上がっていたからでした。

使ってみた②|ボトルネックを基準に予定を組み直す

本書の教えは「ボトルネックの能力以上に前工程を働かせても、在庫(仕掛かり)が増えるだけ」というものです。そこで、滞留していた確認工程の処理できる量を基準に、前工程の受注ペースを調整しました。受注を増やすこと自体を一時止めるのは勇気が要りましたが、結果として仕掛かりが減り、納品までの日数が縮みました。全部の工程を全力で回すのをやめ、一番弱いところに歩調を合わせる。直感に反しますが、これが全体を速くしました。

使ってみた③|ボトルネックそのものを強くする

流れを整えた次は、詰まっていた確認工程の能力自体を引き上げました。やったことは単純で、確認のチェック項目を定型化し、判断に迷う部分だけを私や責任者に上げる形にしたことです。誰でも進められる部分と、経験者でないと決められない部分を分けただけで、滞留は目に見えて減りました。本書のいう「ボトルネックを1時間失うことは全体を1時間失うこと」という言葉が、実感として腹に落ちた瞬間でした。

経営者が学んだのは「どこを見ないか」を決める力

『ザ・ゴール』を業務改善に使って一番変わったのは、私自身の見方でした。これまでは全部署の稼働を平等に気にしていましたが、今は「今、全体を止めているのはどこか」という一点を探すようになりました。すべてを同じ熱量で改善しようとすると、力が分散して何も変わりません。一番効く一カ所に集中し、それ以外はあえて深追いしない。経営者の仕事は、頑張る場所を増やすことではなく、頑張る場所を絞ることなのだと教わりました。

まとめ|「忙しいのに伸びない」と感じたら一読を

『ザ・ゴール』は、現場が忙しいのに利益が伸びないという、多くの経営者が抱えるもやもやに、明確な見方を与えてくれる本です。仕事の流れを一本の線で書き出し、一番詰まっている工程を見つけ、そこを基準に全体を組み直す。この手順は業種を問わず応用できます。小説として面白く読めるので、改善の入口として手に取ってみてはいかがでしょうか。自社で試すなら、まずは主力業務の流れを一枚の紙に書くところから始めるのがおすすめです。

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