『イシューからはじめよ』を経営の意思決定に使ってみた|“解く前に見極める”で会議が変わった

ビジネス書レビュー

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経営をしていると、毎日のように「どれから手をつけるか」を迫られます。私も以前は、目の前に積まれた課題を片っ端から潰していくのが仕事だと思っていました。けれど、頑張って動いているのに会社が前に進んでいる実感がない時期があり、そのときに読み返したのが安宅和人さんの『イシューからはじめよ』です。今回は「使ってみたラボ」として、この本の考え方を実際に自社の意思決定に当てはめてみて、何が変わったかを経営者目線でお話しします。

この本の核心は「解く前に、解くべき問いを見極める」

本書がくり返し説くのは、「いま本当に答えを出すべき問い(イシュー)はどれか」を最初に見極めること。価値のある仕事は、解の質と、そもそも取り組む問いの質の掛け算で決まる、という指摘です。問いがズレていれば、どれだけ精度高く解いても価値は生まれません。読みながら私は、過去に時間を溶かしたプロジェクトの多くが「解の質」ではなく「問いの選び方」で失敗していたことに気づかされました。

📘 経営者として刺さった一節 「悩む」と「考える」は違う——答えが出ない問いの前で時間を使うのが悩む、答えにたどり着くために手を動かすのが考える。会議で空回りしていたのは、まさに全員で「悩んで」いたからでした。

自社でやってみた①|会議の冒頭を「問いの確認」に変えた

まず変えたのは、定例会議の進め方です。これまでは議題を順に報告していくだけでしたが、冒頭の5分で「今日この場で決めるべき問いは何か」を一文で言語化してから始めるようにしました。たったこれだけで、議論が脱線しても「それは今日の問いか?」と戻せるようになり、会議時間がはっきり短くなりました。決めるべきことが決まらないまま終わる、という最ももったいないパターンが減ったのが大きな変化です。

自社でやってみた②|「やらないこと」を先に決める

本書の「イシューを絞る」という発想は、裏を返せば「大半の問いは今は捨てる」ということです。私はこれを、月初の経営判断に取り入れました。やりたい施策を全部書き出したうえで、「今月、答えを出すべき問いはこの一つ」と決め、それ以外は意図的に保留にする。あれもこれもと手を広げていた頃より、一つの打ち手に資源を集中できるようになり、結果として前に進むスピードが上がりました。選ぶとは捨てることだ、と頭では分かっていても実行は難しい——その実行を後押ししてくれる一冊でした。

どんな経営者・ビジネスパーソンに向くか

「忙しいのに成果が出ない」「会議が長いわりに決まらない」と感じている方には、特に効くと思います。逆に、すでに問いの設定が明確で実行段階にある場合は、目新しさは少ないかもしれません。AI時代に作業の多くが自動化されていくほど、「どの問いを立てるか」という人にしかできない判断の価値は上がっていきます。その意味で、いま読み返す価値の高まっている本だと感じました。

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まとめ|「何を考えるか」を考える時間をつくる

この本を実務に持ち込んで得た最大の収穫は、「手を動かす前に、立ち止まって問いを選ぶ」習慣でした。経営者の仕事は、誰よりも速く動くことではなく、組織が向かうべき正しい問いを指し示すことだと、あらためて思わされました。忙しさで視界が狭くなっていると感じたら、手を止めて読んでみてください。

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