インボイス制度と電子帳簿保存法が始まってから、経理の手間が増えたと感じている経営者は多いはずです。私もそのひとりでした。請求書の保存ルールが変わり、消費税の計算は複雑になり、紙とエクセルのままでは追いつかなくなっていました。今回は、この2つの制度に振り回されず、むしろ経理をラクにするために自社でやったことを、経営者の立場からお話しします。
結論:制度対応は「会計ソフトに寄せる」のが一番ラク
先に結論をお伝えします。インボイスと電子帳簿保存法への対応は、自社で運用ルールを一から作り込むより、制度対応済みのクラウド会計ソフトに業務を寄せてしまうのが、もっとも手間がかからない方法でした。制度の変更点をソフト側が自動で追従してくれるため、経営者や経理担当が法令を逐一追いかけなくて済みます。ここを外注や手作業で抱え込むと、毎年のように改正のたびに作り直すことになり、消耗します。
そもそも、何が変わったのか
細かい条文の話は専門家に譲りますが、経営者がおさえておくべき要点は2つです。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)
仕入れにかかった消費税を差し引く(仕入税額控除)ために、登録番号などの要件を満たした請求書(インボイス)の発行・保存が必要になりました。請求書を出す側・受け取る側の両方に影響します。
電子帳簿保存法(電子取引データの保存義務)
メールやWebでやり取りした請求書・領収書などの電子データは、紙に印刷して保存するのではなく、データのまま一定のルールで保存することが必要になりました。日付・金額・取引先で検索できる状態にしておく点がポイントです。
どちらも「請求書まわりの保存と消費税の扱いが厳しくなった」と捉えておけば十分です。問題は、これを毎月の業務にどう落とし込むかです。
自社でやって効いた、3つの手順
制度の説明より、実際に何をしたかのほうが役に立つはずです。自社で踏んだ手順は次の3つでした。
経理をラクにするためにやったこと
- 請求書の発行を、登録番号や税率が自動で入る会計ソフトの請求機能に一本化した
- 受け取った電子の請求書・領収書は、印刷せずソフトに取り込み、検索できる形で保存するルールに統一した
- 消費税の集計(8%・10%の区分)をソフトの自動計算に任せ、人が電卓を叩くのをやめた
この3つを会計ソフトに寄せただけで、月末にエクセルと格闘する時間がほぼなくなりました。とくに効いたのは、請求書の発行と保存を同じソフトの中で完結させたことです。発行した請求書がそのまま売上として記帳され、受け取ったデータも同じ場所に貯まる。「探す」「転記する」「印刷する」という作業が消えました。
私が会計ソフトに任せて変わったこと
正直に言えば、制度が始まった当初、私は紙の請求書をスキャンしてフォルダに入れ、ファイル名に日付と金額を打ち込んで保存していました。検索要件を自力で満たそうとしたわけです。これが毎月数時間の作業になり、しかも打ち間違いが起きる。続けられないと判断して、制度対応済みのクラウド会計ソフトに切り替えました。
切り替えてからは、電子の請求書は取り込むだけで日付・金額・取引先が自動で読み取られ、検索できる状態になります。消費税の区分も自動です。経理にかけていた時間が体感で半分以下になり(2026年時点・自社の実感です)、その分を私は本来やるべき判断や営業に回せるようになりました。AIや自動化に仕事を奪われるのではなく、面倒な作業を任せたことで、経営者である自分にしかできない仕事に集中できるようになった——これが一番の変化でした。
どの会計ソフトを選ぶか
制度対応はどの主要ソフトも済んでいるので、使いやすさと自社の規模で選んで問題ありません。私が比較したうえで実際に候補に残したのは、次の3つです。いずれもインボイス・電子帳簿保存法に対応しています。
freee会計を公式サイトで見る(簿記が苦手でも自動で記帳・申告まで)![]()
マネーフォワード クラウドを公式サイトで見る(会計・請求・給与をまとめて効率化)![]()
弥生のオンライン申告ソフトを公式サイトで見る(無料〜低コストで始めたい方に)![]()
3つの違いや料金の詳しい比較は、別記事のクラウド会計ソフトの選び方|freee・マネーフォワード・弥生を経営者目線で徹底比較にまとめています。あわせてご覧ください。
注意点
ここは気をつけたい
- ソフトを入れただけでは完結しません。社内の運用ルール(誰が・いつ取り込むか)まで決めて初めてラクになります
- 制度の細かい判断(自社が登録すべきか等)は、最終的には税理士に確認するのが安全です
- 過去データの移行は最初だけ手間がかかります。期の変わり目など、区切りの良いタイミングで切り替えるのがおすすめです
まとめ
インボイスと電子帳簿保存法は、手作業で抱え込むと毎年消耗する制度です。逆に、制度対応済みの会計ソフトに業務を寄せてしまえば、改正のたびにソフトが自動で追従し、経営者は法令を追いかけなくて済みます。請求書の発行・保存・消費税の集計をひとつの場所に集めるだけで、経理の時間は大きく減ります。空いた時間を、経営者にしかできない仕事に回す——制度対応は、そのための業務改善の入り口だと捉えてみてください。
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