会計ソフトを乗り換えるなら、いつ動く?freee・マネーフォワード・弥生を「移行コスト」で比べる【経営者の実務】

会計・バックオフィス

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会計ソフトは「入れる」より「替える」ほうが難しい、というのが正直な実感です。当社でも一度、期の途中で乗り換えを検討して、結局その年は見送りました。理由は単純で、期の途中で替えると、その年度だけ帳簿が二重管理になるからです。

この記事では、経営者の立場から「いつ動くか」と「どう動くか」を、freee会計・マネーフォワード クラウド・弥生の3つを比べながら整理します。ソフトの機能比較ではなく、乗り換えという意思決定そのものの話です。

結論:乗り換えの窓は「決算期の直後」しかない

先に結論だけ書きます。会計ソフトを替えるなら、新しい会計年度の開始日から使い始める。これがいちばん事故が少ない選び方です。期首から切り替えれば、前年度は旧ソフトで締め切り、新年度は新ソフトだけを見ればよくなります。

逆に、期の途中で替えると、①旧ソフトで入力済みの仕訳を移すか ②年度末に2つの帳簿を突き合わせるか、のどちらかが必ず発生します。どちらも決算期の忙しい時期に効いてくる作業です。「今すぐ替えたい」と思った月が期首でないなら、その気持ちはメモに残して、期首まで寝かせる。これで失敗はかなり減ります。

乗り換えを考えていいサインは3つ

1. 月次の締めに、毎月「手作業のリカバリ」が入っている

銀行明細やカード明細の自動連携が安定せず、毎月同じ修正を人がやっている状態です。ソフトの問題か運用の問題かを切り分けたうえで、ソフト側なら替える価値があります。

2. 顧問税理士と同じソフトを見られていない

意外と大きいのがこれです。税理士が普段使っているソフトに寄せるだけで、質問と回答の往復が目に見えて減ります。乗り換え先を決める前に、まず顧問に「どれが見やすいですか」と聞くのが最短です。

3. 使っていない機能に払い続けている

人員や取引の形が変われば、必要なプランも変わります。請求書発行や経費精算を別サービスでまかなっているなら、会計側は軽いプランで足りることがあります。

3社を「乗り換えコスト」で比べる

機能の優劣ではなく、移るときに何が引っかかるかという観点で並べます(各社の仕様・料金は改定されるため、最新は公式でご確認ください)。

freee会計:簿記の知識が薄いチームに移りやすい

取引を「入出金」の言葉で扱う設計なので、経理専任がいない会社でも運用に乗せやすいのが強みです。一方で、仕訳の形で入力してきた会社にとっては入力の作法が変わるため、乗り換え直後の1〜2か月は入力ルールの再整備を見込んでおくと安全です。

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マネーフォワード クラウド:既存の経理フローを崩さず移れる

仕訳ベースの考え方に近く、これまでの経理のやり方をあまり変えずに移れるのが利点です。給与・請求・経費まで同じシリーズで揃えたい会社にも向きます。バックオフィス全体をまとめて見直すタイミングと相性が良い選択肢です。

マネーフォワード クラウドを公式サイトで見る

弥生:デスクトップ資産を残したまま移行できる

長く弥生のデスクトップ製品を使ってきた会社にとって、同じシリーズ内でオンラインへ移れるのは移行コストの面で大きな差になります。過去データの扱いや操作の作法が地続きなので、経理担当の再教育コストが最も小さくなりやすい選択肢です。会計事務所側の対応実績が厚い点も、顧問と足並みを揃えたい会社には効きます。

弥生のオンライン申告ソフトを公式サイトで見る

決算期をまたがない移行手順(5ステップ)

当社で組み直した順番です。期首の3か月前から動き始めるのが目安になります。

  • ①期首日を確定する:移行日は「新年度の初日」で固定する。ここを動かさない。
  • ②顧問税理士に共有する:候補を伝えて、対応可否と希望を先に聞く。ここで候補が1つに絞れることが多いです。
  • ③無料期間で本番データを1か月分だけ入れてみる:カタログではなく、自社の実際の取引で試す。連携できない金融機関がないかをここで潰します。
  • ④勘定科目と補助科目の対応表を作る:旧→新の読み替え表を1枚作っておくと、期首からの入力が止まりません。
  • ⑤旧ソフトは1年は解約しない:前年度の修正申告や照会が入る可能性があるため、閲覧できる状態を残しておきます。

自社ではこう判断した

当社は補助金を使って会計ソフトを入れ替えた経緯があり、そのときも「期首から」を最優先にしました(詳細は freeeを補助金で導入してみた実録 に書いています)。振り返って効果が大きかったのは、機能の比較よりも④の読み替え表でした。表が1枚あるだけで、期首の入力を経理担当に任せきれます。

AIの活用が進んで、仕訳の推測や明細の自動仕分けはどのソフトでも年々良くなっています。だからこそ差がつくのは、ソフトの性能よりも、社内のルールをどれだけきれいに移せるかのほうです。

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