法人ETCカードを比較する記事は「年会費無料」を横並びにして終わることが多いのですが、当社で実際に運用してみて分かったのは、年会費はいちばん小さい費用だということでした。決算書に効いてくるのは別の項目です。
この記事では、法人ETCカードの費用を4つに分解し、月にいくら高速を使う会社ならどちらが得かを計算します。結論だけ先に書くと、分かれ目は「クレジット審査が通るかどうか」と「月の通行料が1〜2万円を超えるかどうか」の2つです。
結論|審査が通るなら法人カード付帯、通らないなら協同組合
- 法人カードに付帯するETCカード…年会費は無料〜数百円程度が中心。通行料に対する手数料はかからない。ただしカード会社の審査がある
- 協同組合系の法人ETCカード(ETC協同組合・高速情報協同組合など)…クレジット審査なしで設立直後でも発行できる。そのかわり毎月の通行料に対して5〜8%の取扱手数料がかかる
つまり「審査を通す手間」を金で買っているのが協同組合系で、その値段は固定額ではなく走った分だけ増えます。ここを年会費の欄だけ見て比べると、判断を間違えます。
費用は4つに分解して足す
法人ETCカードの費用は、次の4つの合計です。年会費はこのうちの1つでしかありません。
| 費目 | 協同組合系 | 法人カード付帯 |
|---|---|---|
| ①出資金(加入時) | 1万円程度。脱退時に返還される(費用ではなく預け金) | なし |
| ②カード発行手数料 | 1枚あたり数百円 | 無料〜数百円 |
| ③年会費 | 1枚あたり数百円 | 無料〜数百円 |
| ④取扱手数料 | 毎月の通行料の5〜8% | なし |
※金額は各組合・各カード会社で異なり改定もあります。契約前に必ず公式の最新料金表で確認してください。
月の通行料で総額はこう変わる
④だけが変動費なので、走るほど差が開きます。協同組合系の手数料を5%と8%で置いた年間の負担額です(①〜③は含めていません)。
| 月の通行料 | 協同組合系(5%) | 協同組合系(8%) | 法人カード付帯 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 年6,000円 | 年9,600円 | 年会費のみ |
| 3万円 | 年18,000円 | 年28,800円 | 年会費のみ |
| 5万円 | 年30,000円 | 年48,000円 | 年会費のみ |
| 10万円 | 年60,000円 | 年96,000円 | 年会費のみ |
| 30万円 | 年180,000円 | 年288,000円 | 年会費のみ |
月1万円しか使わない会社でも、協同組合系は年6,000〜9,600円。これは多くの法人カードの年会費を上回ります。営業車が数台あって月10万円動く会社なら、年10万円近い差になる。ここまで来ると「審査が面倒だから」で選ぶ金額ではありません。
それでも協同組合系が正解になる会社
手数料が高いから悪い、という話ではありません。次のどれかに当てはまるなら、協同組合系のほうが合理的です。
- 設立して間もなく、決算書がまだ1期も出ていない(法人カードの審査を通す材料がない)
- 過去の事情でクレジット審査に不安がある
- ドライバーごとに10枚、20枚と車両単位で配りたい(枚数上限の制約を受けにくい)
- 高速の利用が年に数回で、そもそも変動費がほぼ立たない
当社の判断も同じでした。1期目は協同組合系で始めて、2期目の決算が出た時点で法人カード付帯へ切り替える。「今の最適」ではなく「1年後に乗り換える前提で今を選ぶ」のが、この費目のいちばん現実的な扱い方だと思っています。
見落としがちな5つ目の費用=経理の手間
ここまでは現金で出ていく費用の話でした。実際にいちばん時間を取られたのは、ETCの利用明細を会計に入れる作業です。協同組合系は毎月の請求書が郵送や別サイトで届くため、明細がクラウド会計に自動で流れてきません。車両が増えるほど、ここが月次の締めを止めます。
法人カード付帯なら、ETCの利用分もカードの明細に混ざってクラウド会計へそのまま自動連携できます。当社は法人カードとクラウド会計をつないだ月から、締めの作業が体感で半分になりました。ETCカードの選択は、実はここまで含めた話です。
契約前に確認する3点
- 取扱手数料の率と、その計算対象(通行料の総額か、割引後か)
- ETCマイレージサービスに登録できるか(カードの種類によっては登録できません)
- 車両の限定があるか(車載器・車両とひも付き、他の車で使えない種類があります)
3つとも、年会費の一覧表には載っていない項目です。年会費だけを比べて決めた場合、いちばん後で効いてくるのがこの3つでした。


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