「いい戦略を立てれば会社は伸びる」。長くそう思っていました。ところが実際の経営でつまずくのは、たいてい戦略以前の「人」の問題です。今回は、名著『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(ジム・コリンズ)を、自社の経営に実際に当てはめて使ってみたレビューをお話しします。読んで終わりにせず、一つだけ行動を変えてみた記録です。
どんな本か|「良い会社」から「偉大な会社」への飛躍
本書は、平凡だった企業がある時点から飛躍し、それを長く持続させた要因を、膨大なデータ比較から探った研究書です。派手なカリスマ経営者でも、奇抜な戦略でもなく、地味に見える原則の積み重ねが飛躍を生んでいた——という結論が、経営者には妙に刺さります。私が一番引き込まれたのは、有名な「誰をバスに乗せるか」という考え方でした。
自社でやってみたこと|「席」より先に「人」を見直す
これまで私は、新しい事業を始めるとき、まず計画を作り、それに人を当てはめていました。本書を読んで順番を入れ替え、「この取り組みを、誰と進めたいか」から考えてみました。すると、計画ありきでは見えなかったことが見えてきます。能力は高くても方向性が合わない人、目立たないけれど価値観が深く合う人。バスの比喩は、人を切る話に聞こえがちですが、実際は「正しい人に、正しい席を用意する」配置の話だと実感しました。
刺さった概念|「針鼠(ハリネズミ)の概念」
もう一つ実務で効いたのが「針鼠の概念」です。情熱を持てること、世界一になれること、経済的な原動力になること——この3つが重なる一点に集中せよ、という考え方です。私は手を広げがちな性分なので、抱えている事業を3つの円で点検し直しました。重ならない案件を一つ手放す決断ができたのは、この本のおかげです。あれもこれもをやめ、一点に絞る勇気をくれました。
使ってみた率直な感想
正直に言えば、本書の原則はどれも「言われてみれば当たり前」です。劇的な裏技は書かれていません。けれども、当たり前を地道に続けることがいかに難しいかを、経営をやるほど痛感します。読後すぐ売上が変わるわけではありません。ただ、「次に誰と組むか」「何を手放すか」を考える物差しが一本増える。その物差しは、日々の小さな判断でじわじわ効いてきます。少人数の会社ほど、一つの人事と一つの撤退判断の重みが大きいからです。
こんな経営者・リーダーにおすすめ
事業を広げすぎて手が回らない方、採用や配置で迷いがある方、そして「自分が引っ張らないと回らない」状態を抜け出したい方に向いています。逆に、即効性のあるノウハウだけを探している方には物足りないかもしれません。腰を据えて自社を見直すための一冊として、私は折に触れて読み返しています。
『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』をAmazonで見る(PR)
まとめ
『ビジョナリー・カンパニー2』は、戦略より先に人を見る、手を広げるより一点に絞る、という当たり前を本気でやらせてくれる本でした。私自身、「誰をバスに乗せるか」を起点に一つの撤退を決められたのが、読んだ最大の成果です。本を読んで終わりにせず、明日の判断を一つだけ変えてみる。その入り口として、おすすめできる一冊です。
あわせて読みたい:『ザ・ゴール』を自社の業務改善に使ってみた/『エッセンシャル思考』を経営の現場で使ってみた

