「自分が現場を離れると会社が止まる」——これは中小企業の経営者なら一度は感じる悩みではないでしょうか。私自身、長くプレイヤーとして手を動かしてきたぶん、仕事を抱え込みがちでした。そんなときに読み返したのが、マイケル・E・ガーバーの『はじめの一歩を踏み出そう』(原題 The E-Myth Revisited)です。今回は、この本の考え方を自社の「仕組み化」に実際に使ってみたレビューをお話しします。
この本が突きつける「3つの人格」
ガーバーは、小さな会社の中には「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格が同居していると言います。多くの創業者は腕のいい職人として独立しますが、職人のままでは“自分が働き続ける限りしか回らない仕事”になってしまう。読みながら、まさに自分のことだと耳が痛くなりました。会社を続けたいなら、職人としてではなく、仕組みをつくる側に立つ必要がある——この一文が、今回いちばん刺さった部分です。
使ってみた①|「自分にしかできない仕事」を書き出す
まず実践したのは、本でいう「フランチャイズ視点」——もし自社をもう一店舗つくるなら何が必要か、を考えることです。そのために、自分が日々やっている仕事をすべて書き出し、「自分にしかできない」と思い込んでいるものに印をつけました。やってみると、半分以上は手順書さえあれば人に任せられる作業だと気づきます。“自分でやったほうが速い”は、仕組み化を止める一番の言い訳でした。
使ってみた②|手順書を「動画+チェックリスト」で残す
次に、印をつけなかった定型業務から、ひとつずつ手順書に変えていきました。ポイントは、長文マニュアルにしないこと。実際の作業を画面録画し、要点をチェックリストにするだけで十分でした。本の言う「システムが人を動かす」状態に近づけるイメージです。完璧を目指さず、まず7割の手順書を作って回しながら直す——この進め方が、忙しい現場でも続けられたコツです。
使ってみた③|経営者の時間を「働く時間」から外す
仕組みが回り始めると、私の時間の使い方が変わりました。これまで現場作業で埋まっていた時間を、数字を見る・次の打ち手を考える時間に充てられるようになったのです。ガーバーが繰り返す「会社の中で働く(work in)のではなく、会社について働く(work on)」という言葉の意味が、ようやく腹落ちしました。AIや外部ツールに作業を任せる発想とも相性がよく、人がやるべき判断に集中できる環境づくりにつながっています。
どんな人におすすめか
ひとり社長や少人数の会社で、日々の業務に追われて手が回らない人に強くおすすめできる一冊です。逆に、すでに分業と仕組み化が進んだ組織には物足りないかもしれません。まずは「自分が抜けたら止まる仕事」を1つ手順化してみる——その小さな一歩から、効果を実感できると思います。
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よくある質問
まとめ
『はじめの一歩を踏み出そう』は、職人として働き続ける経営から、仕組みで回る経営へと視点を変えてくれる一冊でした。自分にしかできない仕事を書き出し、定型業務を手順化し、空いた時間を判断に充てる。この流れを一周するだけで、会社の回り方は確実に変わります。まずは1つの業務を手順書にすることから、はじめの一歩を踏み出してみてください。
🏆 まとめ記事:経営者が「組織・戦略・仕組み化」を一段引き上げるビジネス書5選 でも本作を紹介しています。


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