転職するか決める前の三か月|社内の1on1と社外のエージェント面談を「同じ一枚」で併用する【会社員向け・2026年版】

仕事術・スキル

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「転職するかどうかは、まだ決めていないんです」——そう前置きしてから相談に来る方が増えました。決めていないのに動いていいのか、という迷いがあるのだと思います。ただ、採用する側として何年も面接の席に座ってきた実感を言うと、決めてから動き出した人より、決める前から動いていた人のほうが、話が具体的です。前者は求人に合わせて自分を説明し、後者は自分の仕事を説明したうえで求人と突き合わせています。

この記事は、決める前の三か月をどう使うかの話です。具体的には、上司との1on1(社内)と、エージェントとの面談(社外)を、同じ一枚の資料で並行させるやり方をまとめました。どの相談先を選ぶかを時間で比べた在職中の転職活動は「相談先」で決まるの一歩手前、扉を叩く前に何を用意しておくかが主題になります。

結論:書き分けず、同じ一枚を二か所へ通す

やることは一つだけです。自分がこの一年でやった仕事を一枚にまとめ、その同じ一枚を社内の1on1と社外の面談の両方に持ち込む。社内用と転職用で書き分けない、というのが肝心なところです。書き分けた瞬間に、どちらも相手に合わせた作文になり、返ってくる言葉も作文への感想で終わります。

同じ一枚を二か所へ通すと、返ってくる反応が二種類に割れます。この割れ方そのものが情報です。社内では当たり前と流された箇所が社外で食いつかれたなら、それはあなたの職場が特殊なだけで、外では値段がつく経験です。逆に社内で評価された箇所が社外で反応が薄いなら、それは社内の事情に強く依存した働きで、持ち出しにくい。この二つを分けないまま「自分の市場価値」を考えても、根拠のない自己採点にしかなりません。

片方だけで使うと、どちらも同じところで止まる

エージェント面談だけ——求人から逆算した自分になる

先に相談先を決めてしまうと、話は手元にある求人から始まります。相手は仕事として求人を預かっているので当然ですし、それ自体は悪いことではありません。ただ、こちらに軸がないまま入ると、紹介された求人に合う経歴の切り出し方を一緒に考える時間になりがちです。そうして整えた話は、面接で一歩踏み込まれると崩れます。私が面接で「なぜその順番で進めたのですか」と聞くとき、崩れるのはたいていこの型です。

社内の1on1だけ——社内の相場でしか値段がつかない

反対に社内だけで完結させると、評価は社内の相場で決まります。上司は同じ部署の他の人と比べるしかないので、そこで高い評価が出ても、それはこの会社の中で相対的に良いという意味にとどまります。私自身、自社の社員を評価するときに市場の相場を持ち込めているかといえば、正直そこまで見きれていません。社内の評価だけを根拠にすると、上がり幅も下がり幅も、その会社の事情の内側でしか動かないということです。

通す「一枚」に書くのは三つだけ

一枚に何を書くかで結果が変わります。職務経歴書の形式は気にせず、A4一枚に次の三つだけを入れてください。

  1. 引き受けた問題——担当した業務名ではなく、そこで困っていたことを一行で。「請求の締めが毎月三日遅れていた」のように、相手が状況を絵にできる粒度にします。
  2. 自分が決めたこと——上から降りてきた指示ではなく、あなたが判断した箇所です。小さくて構いません。順番を変えた、担当を分けた、やめた、のどれかでも十分です。
  3. 次も再現できる手順——その仕事をもう一度やるとしたら、どの順で進めるか。ここが書ける人は、面接でも評価面談でも強いです。逆にここだけ書けない場合、その成果は運か、誰か他の人の力によるものだった可能性があります。

三つとも、上司にも社外の人にも同じ言葉で説明できる内容になっているかを確認してください。片方でしか通じない社内用語が混じっていたら、そこが持ち出せない部分です。削る作業のやり方は職務経歴書は「何を書くか」より「何を削るか」に書いたので、書き上がってから読むと速いと思います。

三か月の置き方——社内、社外、そしてまた社内

三か月というのは、在職中に無理なく二回ずつ面談を置ける最短の長さです。順番を守ってください。

  1. 一か月目:社内から。1on1で一枚を出し、「来期はこの方向で任されたい」と話します。転職の話は一切しません。ここで上司が食いついた箇所と、流した箇所に印をつけます。
  2. 二か月目:社外へ。同じ一枚のまま、特化型のエージェント面談を一社だけ入れます。数を増やさないのは、比べる対象を一枚に固定しておきたいからです。ここでも印をつけます。
  3. 三か月目:もう一度社内。二か所の反応が割れた箇所を、次の1on1で具体的な仕事の希望に変えて出します。「この経験は社外でも通用すると分かったので、来期はここを厚くしたい」と言える人は、社内での交渉力も上がります。

三か月終わったとき、転職するという結論になっても、残るという結論になっても構いません。どちらの結論も、同じ一枚から出てきた根拠を持っているという点が違いです。

採用する側から見ると、併用してきた人はここが違う

面接で私が必ず聞くのは、「その判断をしたとき、他にどんな選択肢がありましたか」です。この質問に答えられる人は、少数です。多くの方は成果は語れても、選ばなかった道を覚えていません。併用してきた人は、社内と社外の両方で同じ話を二度したぶん、自分の判断を他人の言葉で聞き返された経験を持っています。だから選ばなかった道も残っている。

もう一つ、応募書類の見え方も変わります。同じ経歴でも、社内でしか通じない言葉が抜けている書類は、最初の三分で読み切れます。私が書類を落とすときの理由の多くは経験不足ではなく、何をした人なのかが三分で分からないことでした。未経験からの挑戦で実際に見ている軸はコンサル転職は未経験からでも通るのかにまとめています。

社外の一回目をどこに置くかで迷うなら、業界を絞った特化型から入るのが無難です。一枚に対する反応が具体的に返りやすく、比べる材料になります。

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一枚は、人に見せる前に自分で直す

ここが併用のもう一つの要です。一枚の初稿は、ほぼ確実に長く、主語が抜けています。私も自社の資料で同じことを何度もやりました。面談の場で直してもらうのは効率が良さそうに見えますが、読みにくい文章を出した時点で、相手の注意は中身ではなく読解に向かいます。一回目の面談は一度きりなので、そこは自分で潰しておきたい。

当社では、社外に出す文章は人に見せる前に一度ツールを通す運用にしています。一文が長い、同じ語尾が続く、主語がない——この三つは機械のほうが速く見つけます。中身の良し悪しは判定できませんが、中身を読んでもらうための下地は作れます。文章の直し方そのものは会社員のためのAI仕事術やAIで議事録・資料作成を時短する具体ワークフローでも触れています。

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この併用が効かない三つの場面

誠実に書いておきます。次の三つに当てはまる方には、この進め方は向きません。

  1. 今月中に辞めたい——三か月かける前提の話なので合いません。体調や職場環境が理由なら、順番を考えている場合ではありません。先に離れてください。
  2. 上司との1on1が実質存在しない——形式的な面談しかない職場では、社内側の反応が取れません。この場合は社外の面談を二社に増やし、業界の違う相手で割れ方を見るほうが現実的です。
  3. 転職する気がまったくない——情報収集だけのつもりでも、相手は仕事として時間を使っています。可能性がゼロなら、社内の1on1と30代で年収を上げる三つの道で挙げた社内異動・副業のほうを先に検討してください。

今日やるのは、一枚の一行目だけ

三か月の話をしましたが、今日やることは一行です。この一年でいちばん面倒だった仕事は何だったかを、一行で書いてみてください。面倒だった仕事には、たいてい判断が入っています。判断が入っているところにしか、再現できる手順は残りません。

AIが下調べも下書きも引き受けるようになったぶん、人に残るのは何を問題として扱うかを決める部分です。その決め方を言葉にできる人は、社内でも社外でも同じように扱いが変わります。一枚を書くのは転職の準備というより、その練習だと考えてもらったほうが近いかもしれません。

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