クラウド会計の見積もりで聞いた金額と、半年後に実際に落ちている金額は、たいてい一致しません。だまされたわけではありません。見積もりに出ているのは基本料金だけで、そこに人数とオプションが後から積み上がるからです。
この記事は、どの会社のソフトが安いかを決める記事ではありません。自社の月額がどこで増えているのかを三つの層に分け、今月の請求書の数字で確かめるための分解です。三社のどれを選ぶかは別記事で比べているので、ここでは金額の作られ方だけを扱います。
結論|月額は「基本」「人数」「業務」の三層で決まる
- 第一層=基本料金。法人向けか個人事業主向けか、月払いか年額一括かで動きます。契約した日に決まり、その後はあまり動きません。
- 第二層=人数で動く枠。従業員が増えたとき、ログインする人が増えたときに動きます。採用のたびに静かに動くので、気づくのが遅れます。
- 第三層=業務オプション。給与計算、請求書発行、経費精算、マイナンバー管理など、業務ごとに増える部分です。一度足すと、使わなくなっても残ります。
月額が高いと感じたときに最初に見るべきなのは、ほとんどの場合で第一層ではなく第三層です。順番を逆にすると、必要な土台を外して業務だけが止まります。
なお、第三層の増え方はサービスによって二通りあります。基本料金に主要な機能がまとまっていて、使う人数が増えたぶんだけ上がる形と、会計と人事労務のように別の契約を足していく形です。どちらの形かを先に確かめておかないと、他社と並べたときに同じ条件で比べられません。
第一層|基本料金は「誰向けか」と「支払い周期」で動く
最初に確かめるのは、いま契約しているのが法人向けのプランなのか、個人事業主向けのプランなのかです。法人成りしたあとも個人事業主向けのまま使い続けている会社があります。安く見えますが、決算や法人税の申告まわりで足りないものが出て、結局そこを人の手で埋めることになります。
支払い周期も同じ層です。年額一括のほうが月あたりは下がるのが一般的ですが、下がるぶんだけ乗り換えの自由は減ります。年の途中で合わないと分かっても、残りの期間は払い続けることになるからです。導入して一年目は月払い、仕組みが固まってから年額に寄せる。この順番にしておくと、判断の自由を安く買えます。
金額そのものは改定されます。この記事では具体的な価格を書きません。各社の公式の料金ページで、いま表示されている金額を必ず確認してください。
第二層|人数で動く枠には、二本の軸がある
従業員数で動くもの
給与計算、年末調整、マイナンバー管理のように、一人あたりで加算される機能があります。多くの場合は基本料金に何名ぶんかの枠が含まれていて、その枠を超えた人数から加算が始まります。一人雇った瞬間に必ず増えるわけではありませんが、枠を超えたあとは採用の決裁とつながらないまま自動で増えていきます。パートを数名入れた月に、会計まわりの支払いも一緒に上がっていた、というのはよくある話です。
ユーザー数で動くもの
もう一本はログインできる人の数です。従業員数とは別の軸で、経理担当だけが触る会社なら一人、各部門が経費を自分で入力する会社なら人数ぶん必要になります。この二つを混ぜて考えると、見積もりと実際の請求額がずれます。従業員二十名でもユーザーは三名、ということが普通に起きるからです。
先に決めるのは「誰に入力させるか」です。入力を本人に寄せれば経理の時間は減りますが、ユーザー数は増えます。経理に集めれば利用料は小さくなりますが、月末に経理担当の手が止まります。どちらを買うかの選択であって、安いほうが正しいわけではありません。
第三層|業務オプションは、いまある作業とだけ結びつける
給与計算
社会保険の手続きまで含めて社労士へ出しているなら、同じ機能を社内にも置く理由は薄くなります。逆に、自社で計算していて毎月半日を使っているなら、ここは最優先で自動化を検討する場所です。判断の材料は料金ではなく、いま誰が何時間使っているかです。
会計と同じ系列で給与をそろえる値打ちは、料金そのものよりも給与を確定した時点で仕訳まで自動で起きることにあります。源泉所得税や社会保険の預り金を毎月手で打ち直している会社ほど、ここで減る時間は大きくなります。
請求書発行と経費精算
請求書は、発行だけでなく入金の消し込みまで同じ画面でつながるかで効き方が変わります。発行だけなら表計算でも回りますが、消し込みが手作業のまま残ると、件数が増えた月に詰まりやすくなります。経費精算も同じで、立替をやめて法人カードへ寄せるほうが先に効くことがあります。
オプションを足す前に、一度だけ自問することにしています。「この機能を止めたら、来月だれが困るか」。名前が出てこない機能は、まだ足す時期ではありません。
自社でやった分解の手順
やったことは単純です。直近の請求明細を一枚印刷して、行ごとに三色で塗り分けました。基本料金に一色、人数で動く行に一色、オプションに一色です。塗り終わったら、色ごとに金額を合計します。行数ではなく合計額で見るのが大事で、行数の多い色が金額でもいちばん大きいとはかぎりません。
次に、オプション色の行をひとつずつ、社内の作業名と突き合わせました。作業名が出てこない行が残ったら、それが削る候補です。使っていない機能は解約し忘れているのではなく、導入時の「とりあえず全部」が残っているだけ、ということがほとんどでした。
最後に、人数で動く行だけを採用計画の横に並べました。来期に何名増える予定かと並べておくと、増員を決裁した日に、会計まわりの増額も一緒に決まっていることが見えます。ここまでやって初めて、乗り換えるべきか、プランを変えるだけで済むかの判断ができます。
会計・請求・給与をまとめたときに月額がどう積み上がるかは、公式の料金ページで確かめるのがいちばん早いです。
マネーフォワード クラウドを公式サイトで見る会計・請求・給与をまとめて効率化/最新の料金は公式でご確認ください記帳と申告を軸にして、必要なオプションだけを足していきたい場合はこちらも見比べてください。
freee会計を公式サイトで見る簿記が苦手でも自動で記帳・申告まで/最新の料金は公式でご確認ください今月の請求明細を開いて、十五分でやること
- 明細を三つの層に仕分ける。基本・人数・オプションの三色で十分です。
- オプションの行に社内の作業名を書き足す。書けない行が削る候補です。
- 人数で動く行を採用計画の横に置く。来期の増額が先に見えます。
ここまでやったうえで足りないと分かったなら、そのときが乗り換えを考える番です。移すタイミングと作業量は会計ソフトを乗り換えるなら、いつ動くかにまとめています。三社の違いそのものを比べたいときはクラウド会計ソフトの選び方を、請求から入金までを一本につなぐ話は請求書を出してから入金までを一本につなぐを読んでください。

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